問. K総合病院に勤務する管理栄養士である。患者は、58歳、男性。酒販店を自営している。慢性腎臓病(CKD)で近所のクリニックに通院して生活指導を受けていたが、本人は積極的に取り組んでいなかった。この度、腎機能が悪化した(ステージ4)ため当院に紹介された。
医師より、エネルギー2,000kcal、たんぱく質40g、カリウム1,500mg以下、食塩6g未満の栄養食事指導の依頼があった。本人と妻に日常の食事計画について説明を行い、患者と相談の結果、低たんぱく質ごはんを使用し、主菜の食材でたんぱく質摂取量が約30gとなるように計画することにした。
184 患者は、朝食の主菜は卵1個(50g)または木綿豆腐1/3丁(100g)のどちらかにすると言う。これを受けて、昼食と夕食の主菜を合わせた目安量である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 魚介類30gまたは肉類30g
(2) 魚介類45gまたは肉類45g
(3) 魚介類30gと肉類30g
(4) 魚介類60gと肉類60g
185 指導が終わって、患者は「これなら簡単です。頑張ります。」と言って席を立った。しかし妻から、「本当は配達時にコンビニで、から揚げなどしっかり買い食いしています。私は知らないと思っているでしょうけど。」と耳元でささやかれた。その後の患者への声かけである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 今日説明した肉と魚の量を守って、外で買い食いをしないでくださいね。
(2) 外で食べられたものも、忘れずに奥様に報告してくださいね。
(3) コンビニで買っておられるから揚げは、たんぱく質が多いですよ。
(4) 今日説明したことを守ると体調が良くなるでしょうから、頑張ってくださいね。
186 約1か月後、2回目の栄養食事指導を行った。提出された食事記録から、ほぼ計画通りに食べられているが、エネルギー摂取量が不足気味であると判断された。面接の中で、患者から「仕事の休憩時にはどんな飲み物を飲むとよいか。」と質問があった。この回答として勧める飲み物である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) トマトジュース
(2) みかん20%果汁入り飲料
(3) 缶コーヒー(乳成分入り、加糖)
(4) 緑茶
解説
184 答. (4)
○ (4) 魚介類60gと肉類60g
卵1個(50g)、木綿豆腐1/3丁(100g)に含まれるたんぱく質は、それぞれ6.2g、6.6gである。
主菜の食材でたんぱく質摂取量を約30gとする計画なので、残りの約23gを昼食と夕食で摂取すればよい。
魚介類、肉類100gに含まれるたんぱく質量は、どちらも20g弱であるため、残りの23gを摂るには、合わせて約115g摂ればよい。
よって、選択肢(4)が正答となる。
185 答. (4)
(1)~(3)のような買い食いを確信した物言いは、患者のモチベーション低下や、信頼関係の悪化につながるため好ましくない。加えて、患者と妻との関係が悪くなる恐れもある。
186 答. (2)
エネルギー摂取量不足を補いながら、制限が必要な栄養素を摂りすぎないような飲み物を選択する必要がある。
× (1) トマトジュース
カリウムが多いため、不適である。
○ (2) みかん20%果汁入り飲料
× (3) 缶コーヒー(乳成分入り、加糖)
乳成分(たんぱく質)を含むため、不適である。
× (4) 緑茶
エネルギーが無いため、不適である。