管理栄養士国家試験の出題基準(ガイドライン)は、4年に1度改定が行われており、第38回管理栄養士国家試験から、新しい管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)が適用されます。
ということで、変更点などを中心に、新しいガイドラインのポイントをチェックしていきましょう!
第38回国試から適用される新ガイドラインのポイント
出題数や出題採点方式は変わらない
過去のガイドライン改定では、応用力試験の問題数が増えるなど、出題数や配分が変わることも多くありました。
しかし、今回の改定では出題数や出題配分の変更はありません。
出題採点方式の変更も検討されてはいましたが、今回の改定では出題採点方式の変更もありません。
英語用語問題の導入
対策の面で最も知っておきたいのが、英語用語問題の導入です。
ガイドラインの検討会報告書には、以下のように示されています。
近年の保健医療分野の国際化の進展等を鑑み、保健医療関係職種による多職種連携において広く用いられている基礎的な英語用語や、管理栄養士の専門領域に係るものとして把握しておくべき英語用語について、その理解を確認するための問題を導入することが望ましい。
英語に関する深い理解を問うというわけではなく、基礎的な英語用語を通じて英語に慣れ親しんでもらおうという意図のようです。
英単語とその意味の組合せのような形での出題が予想されますね。
管栄通宝でも対策コンテンツを公開予定ですので、各種SNSのフォローもお忘れなく!
多職種連携を意識した問題水準
今回の改定では、年々重要性が増している多職種連携がかなり意識されており、検討会報告書には以下のような文言が追加されました。
栄養管理に関する知識や技能を問う問題については、多職種連携を前提に、栄養専門職としての専門性を的確に問える難易度となるよう引き続き留意するとともに、保健医療関係職種に共通して必要となる基礎的な知識等について、適切な難易度の問題を出題することが望ましい。
多職種連携の中で管理栄養士としての専門性を発揮できるように、試験問題もアップデートしていくということだろうと思います。
今後は、他職種の国家試験での出題状況が、より意識されてくると考えられますね。
科目別の新規追加事項
科目別の出題基準は、主に表記の変更や項目の整理などが行われ、一部新しい事項が追加されました。
ここでは、新しく追加された内容や用語をざっくりまとめています(「新しく追加=これまで出ていなかった」というわけではありません。また変更点すべてを網羅するものではありません。)
新規追加用語等については、記事やInstagramの投稿などで解説をあげていく予定ですので、そちらも要チェック!
社会・環境と健康
- 公衆衛生と予防医学の歴史
- 予防医学のパラドックス
- レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)、国保データベース(KDB)
- Hillの判定基準
- 研究倫理審査
- オプトアウト
人体の構造と機能
- 血管の構造と機能
- リンパの循環
- 尿管・膀胱・尿道の構造と機能
- 糖尿病性腎臓病(DKD)、腎硬化症
- 分娩、乳汁分泌
食べ物と健康
- BSE(プリオン)
- 環境ホルモン
基礎栄養学
- 膜動輸送
- 水(の吸収)
- 栄養素の排泄
- 熱中症
応用栄養学
- 生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連(食事摂取基準)
- 教育・保育施設における栄養ケア・マネジメントの実践
栄養教育論
- 栄養教育の概念
- 行動科学の定義と栄養教育に必要な理由
- 栄養教育と食環境づくり
- 栄養と環境に配慮した栄養教育の展開
臨床栄養学
<出題のねらい>
小児期は成長に必要な栄養素量、また、高齢期はフレイルなどの加齢による身体・生理機能変化及び多疾患併存を考慮した栄養管理の方法についての理解も問う。
- 糖尿病性腎臓病(DKD)、腎硬化症
- (癌の)化学療法、放射線治療
- 集中治療
公衆栄養学
- 多職種連携・多機関連携
- 健康格差
- 食料安全保障
第38回管理栄養士国家試験に向けて
「ガイドラインが変わるから不安」という方もいらっしゃると思います。
しかし、ガイドラインが変わっても、これまで通り過去問を中心にしっかりと知識をつけていけば大丈夫ですので、過剰に恐れないようにしましょう。
管栄通宝でも対策できる部分は対策していきますので、一緒にがんばりましょう!
参考:「令和4年度 管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書」(厚生労働省)