問. Kクリニックに勤務する管理栄養士である。特定保健指導を担当している。
対象者は41歳、男性。今年受けた特定健康診査で、積極的支援レベルとなり、Kクリニックに特定保健指導を受けに来た。
身長170cm、体重81kg、BMI28.0kg/m2、腹囲100cm、血圧146/94mmHg。空腹時血液検査値は、トリグリセリド150mg/dL、血糖110mg/dL。服薬なし。喫煙習慣なし。
189 保健指導の途中で、男性が研究結果(右図)をもとにした広告を見せ、「トクホ(特定保健用食品)Aは、脂肪の吸収を抑えると謳っているから、これを飲めば痩せますよね。」と質問した。その回答である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) トクホと言っても、これを飲めば痩せるという食品はありません。減量はそんな簡単にはできませんよ。
(2) この結果は、食後の血清中性脂肪の変化を見ているものなので、減量効果があるかどうか、わかりませんね。
(3) この研究の対象者は、あなたと年代も空腹時の中性脂肪の値も近いから、減量効果が期待できるかもしれないですね。
(4) 食後の中性脂肪の吸収を抑えると減量するという話も聞くので、可能性はありますね。
190 男性に、より適切な助言をするために、この広告のもとになっている研究論文を見て管理栄養士が確認すべき事項である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 研究対象者の男女の比率が方法に書かれているか。
(2) 負荷食の食べ方の指示が方法に書かれているか。
(3) 負荷食の栄養素構成の妥当性を考察しているか。
(4) 中性脂肪に統計的有意差があることの、健康への影響を考察しているか。
解説
189 答. (2)
○ (2) この結果は、食後の血清中性脂肪の変化を見ているものなので、減量効果があるかどうか、わかりませんね。
指導の対象者は、管理栄養士が言ったことを自分に都合よく解釈してしまう傾向がある。
与えられた情報だけでは判断できない場合でも、可能性を示唆するような安易な発言をせず、冷静に情報を見極めた上で発言をすることが必要である。
また、否定する場合には、対象者が納得できるように根拠を示して説明することが望ましい。
190 答. (4)
○ (4) 中性脂肪に統計的有意差があることの、健康への影響を考察しているか。
より適切な助言をするためには、実際にもとになっている研究論文をみて、健康への影響の考察があるかを確認する必要がある。