問. K 総合病院に勤務する管理栄養士である。外来患者の栄養食事指導を行っている。
患者は、70 歳、男性。歩行時の呼吸困難感を主訴に来院した。精査の結果、中等度に進行した COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断された。食欲が低下し、この半年間で 5 kg やせた。20 歳から現在まで、40 本/日の喫煙歴がある。
身長 160 cm、標準体重 56.3 kg、体重 44 kg。空腹時血液検査値は、アルブミン3.7 g/dL、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL。基礎代謝量 1,050 kcal/日、間接熱量計を用いて測定した安静時エネルギー消費量 1,400 kcal/日。
180 患者の栄養アセスメントとして、最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 上腕三頭筋皮下脂肪厚が高値である。
(2) 除脂肪体重が増加している。
(3) クワシオルコル型栄養障害である。
(4) マラスムス型栄養障害である。
(5) エネルギー代謝は亢進していない。
181 1日当たりのエネルギー指示量である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 1,000 kcal/日
(2) 1,400 kcal/日
(3) 2,100 kcal/日
(4) 3,000 kcal/日
182 食事摂取不良が続き、 1 か月後にやせが進行していたため、経腸栄養剤を補充することにした。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 標準タイプの半消化態栄養剤
(2) 低脂質の半消化態栄養剤
(3) 高脂質の半消化態栄養剤
(4) 低たんぱく質の半消化態栄養剤
解説
180 答. (4)
× (1) 上腕三頭筋皮下脂肪厚が低値である。
× (2) 除脂肪体重が減少している。
× (3) マラスムス型栄養障害である。
○ (4) マラスムス型栄養障害である。
× (5) エネルギー代謝は亢進している。
181 答. (3)
○ (3) 2,100 kcal/日
COPDでは、エネルギー代謝が亢進するため、安静時代謝量(1,400 kcal/日)の1.5~1.7倍のエネルギー摂取を目標とする。
182 答. (3)
○ (3) 高脂質の半消化態栄養剤
COPDでは、呼吸商を低下させるため、高脂質の栄養剤を用いることがある。
※呼吸商は、糖質1.0、たんぱく質0.8、脂質0.7であり、脂質が最も二酸化炭素の発生が少ない。
COPDでは、二酸化炭素を体外に排出する力が弱くなっているため、二酸化炭素の発生が少ない脂質を主体とした栄養剤の利用を検討する。