問. K総合病院に勤務する管理栄養士である。消化器内科病棟を担当して、入院患者の栄養管理を行っている。
患者は、55 歳、男性、単身赴任。慢性膵炎で通院していたが、食生活は改善されないままであった。このたび、激しい上腹部痛と背部痛のために緊急入院となった。意識障害および汎発性腹膜炎が認められ、精査の結果、慢性膵炎の急性憎悪と診断された。胆石は認められなかった。
身長 171 cm、体重 63 kg、血圧 128/79 mmHg、空腹時血液検査値は、白血球15,000/nL、HbA1c 5.8%、 血清アミラーゼ 1,200 IU/L(基準値 32~104 IU/L)、CRP 18.2 mg/dL。
これまでの食生活は、朝食欠食、昼食はラーメンとチャーハン、夕食はほぼ毎日外食。飲酒は、毎日3 合、30 年間続けている。
174 入院当日の栄養投与法である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 流動食による経口栄養法を行う。
(2) 経鼻胃管による経腸栄養法を行う。
(3) 胃瘻を造設して、経腸栄養法を行う。
(4) 絶食として、静脈栄養法を行う。
175 数週間後、上腹部痛と背部痛は無くなり、退院に向けて栄養食事指導を行っている。退院後の食生活で、遵守すべき重要事項として伝える内容である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 禁酒する。
(2) 1 日 3 回規則正しく食事する。
(3) 昼食のラーメンとチャーハンをやめる。
(4) 外食では、野菜を多く食べる。
176 退院 2 か月後の外来受診時、時々腹部痛や脂肪便を認めるとの訴えがあり、医師より栄養食事指導の依頼があった。この患者が、近所のスーパーマーケットで販売されている惣菜を買って食事を準備する場合、主菜として勧める料理である。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 和風オムレツ(鶏卵 80 g)
(2) すずき(80 g)の塩焼き
(3) いわし(80 g)の梅干し煮
(4) アボカド(30 g)入りささ身(80 g)のサラダ
解説
患者は、慢性膵炎の急性増悪期。
アルコール多飲が原因であると考えられる(問題文”飲酒は、毎日3 合、30年間続けている”より)。
174 答. (4)
○ (4) 絶食として、静脈栄養法を行う。
慢性膵炎の急性憎悪期には、膵臓の安静を保持するため絶食とする。
175 答. (1)
○ (1) 禁酒する。
アルコールは膵炎の増悪因子であるため、禁酒の指導が最重要事項である。
176 答. (2)
○ (2) すずき(80 g)の塩焼き
腹部痛や脂肪便を認めると訴えていることから、脂質の摂取量が多いと考えられる。
他の選択肢の鶏卵、いわし、アボカドは、いずれも脂質含量が多く、適切ではない。