問. K県の健康増進課の管理栄養士である。K県の健康増進計画を検討している。K県の健康課題は、脳血管疾患であり、死亡率は全国平均より高い。食生活の特徴では、野菜摂取量、果物摂取量(中央値)はそれぞれ5SV/日と1SV/日である。これまで、野菜摂取量の目標は5SV/日、果物摂取量の目標は2SV/日と設定してきている。また、食塩摂取量(平均値)は11g/日である。
196 食生活の目標を考えるうえで、脳血管疾患と野菜および果物摂取に関連する前向きコホート研究論文を参考にした。表は野菜および果物摂取による脳血管疾患罹患の相対危険の結果である。この結果の解釈である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険が有意に低下する。
(2) 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険は低下するが、有意ではない。
(3) 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険が有意に低下する。
(4) 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険は低下するが、有意ではない。
(5) 野菜と果物ともに、2SV/日未満の摂取で、相対危険が有意に低下する。
197 研究結果を参考に、K県の現状を踏まえ、野菜と果物の摂取に関する地域住民への推奨内容を考えた。推奨内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 野菜は現状維持で、果物を増やす。
(2) 野菜を増やし、果物は現状維持する。
(3) 野菜、果物ともに増やす。
(4) 野菜、果物ともに現状維持する。
198 野菜や果物の摂取に関する推奨を施策化する上で、考慮しなければならない事項である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 野菜の調理法
(2) 食事中の野菜摂取のタイミング
(3) 野菜の種類
(4) 1日の中での果物摂取のタイミング
解説
196 答. (3)
相対危険は、基準群(本問では<2SV/日群)と比較して、疾患の危険が何倍になったかを示した指標である。
相対危険は、95%信頼区間が1を跨いでいない場合有意であるといえる。
× (1) 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険は低下するが、有意ではない。
× (2) 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険が有意に低下する。
○ (3) 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険が有意に低下する。
× (4) 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険が有意に低下する。
× (5) 野菜と果物ともに、5SV/日超の摂取で、相対危険が有意に低下する。
197 答. (3)
○ (3) 野菜、果物ともに増やす。
表より、野菜、果物ともに5SV/日超の摂取で、脳血管疾患罹患の相対危険が有意に低下しており、摂取を増やすことを推奨する。
198 答. (1)
○ (1) 野菜の調理法
果物はそのまま食すことが多いため問題ないと考えられるが、野菜は調理時に塩分が加えられることが多い。問題文より、K県の食塩摂取量(平均値)は11g/日と、目標量(男性:8g未満、女性:7g未満)よりも多いため、食塩摂取量を増やさないように調理法を考慮する必要がある。