問. K市の健康増進課に勤務する管理栄養士である。
市の教育委員会より、近年、新入学の児童における肥満傾向児の割合が増加していると情報提供があった。そこで、肥満に関連する要因を検討し、対策を講じたいと考えた。
190 小学校で新入学の児童に実施された身体計測の値を用い、肥満傾向児の割合を全国及び県全体と比較したい。そのための指標として、最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) BMI
(2) ローレル指数
(3) 学校保健統計調査方式による肥満度判定
(4) 幼児身長体重曲線計算式による肥満度判定
191 K市における直近 10 年間の出生時の体格を確認したところ、変化していなかった。このことを踏まえ、幼児の肥満に関連する要因を検討する目的で、質問紙調査を実施する。調査対象として、最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 無作為抽出した 20~30 歳代の成人
(2) 3 歳児健康診査を受診する児の保護者
(3) 妊産婦教室の参加者
(4) 市が開催する「子育てフェスタ」の参加者
192 質問紙調査の結果から、児と保護者及び家庭の実態が把握できた(表)。この結果を踏まえ、市内保育園の年中・年長児を対象とする、ポピュレーションアプローチのプログラムを計画した。重要度と実現可能性を考慮した場合の優先度の高いプログラムである。最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 保育園の給食時間を長くして、児がよく噛んでゆっくり食べる習慣をつけるようにする。
(2) 菓子の適切な摂り方に関するリーフレットを作成し、全家庭に配布する。
(3) 甘い飲み物に含まれる砂糖量のリーフレットを作成し、全家庭に配布する。
(4) 肥満度の高い児の保護者に対し、家庭における甘い飲み物の買い置きを控えるように説明する。
解説
190 答. (3)
○ (3) 学校保健統計調査方式による肥満度判定
学校保健統計調査では、性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求めて、都道府県ごとに集計している。そのため、数値データを用いて、全国及び県全体と比較することが可能である。
191 答. (2)
出生時の体格は変化していないことから、肥満の要因は、出生後から小学校入学までの期間にあると考えられる。
× (1) 無作為抽出した 20~30 歳代の成人
子どもがいない者も対象となってしまうため、適切ではない。
○ (2) 3 歳児健康診査を受診する児の保護者
3歳児健康診査は、出生後から小学校入学までの期間にある。さらに、90%以上の者が受診するため、選択バイアスもかかりにくく、実施も容易である。
× (3) 妊産婦教室の参加者
肥満の要因は、出生後から小学校入学までの期間にあると考えられるため、妊婦は調査対象として適切とはいえない。
× (4) 市が開催する「子育てフェスタ」の参加者
「子育てフェスタ」の参加者は、子育てへの意識が高い者が多いと考えられる(選択バイアスがかかる)。
192 答. (3)
× (1) 保育園の給食時間を長くして、児がよく噛んでゆっくり食べる習慣をつけるようにする。
児の食べる速度は、肥満度による差がほとんどなく、重要度が低いと考えられる。
× (2) 菓子の適切な摂り方に関するリーフレットを作成し、全家庭に配布する。
菓子の摂取頻度は、肥満度による差がほとんどなく、重要度が低いと考えられる。
○ (3) 甘い飲み物に含まれる砂糖量のリーフレットを作成し、全家庭に配布する。
児・保護者ともに、肥満度が高い者では甘い飲み物の摂取頻度が高い者が多い。そのため、重要度が高いプログラムであるといえる。
× (4) 肥満度の高い児の保護者に対し、家庭における甘い飲み物の買い置きを控えるように説明する。
ハイリスクアプローチのプログラムである。