問. K事業所に勤務する管理栄養士である。来年度から始める体重管理プログラムを検討している。K事業所の従業員は1,000人（男性：300人、平均年齢42歳、女性：700人、平均年齢37歳）であり、近年、高血圧と糖尿病の罹患者が増加している。表1はK事業所の従業員の今年度のBMIの分布である。なお、K事業所の来年度のプログラム実施の予算は100万円である。
193 K事業所が掲げる、来年度の健康づくりの結果目標である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 男性の肥満（25.0kg/m2 以上）の割合を減らす。
(2) 女性のやせ（18.5kg/m2 未満）の割合を減らす。
(3) 男女とも肥満（25.0kg/m2 以上）の割合を減らす。
(4) 男女ともやせ（18.5kg/m2 未満）の割合を減らす。
194 K事業所と同系列のA事業所とB事業所が先行して体重管理プログラムを実施していた。A事業所は集団学習の教室（プログラム総費用20万円）、B事業所はアプリを活用したプログラム（プログラム総費用100万円）である。表2－1と表2－2は、それぞれの取組前後のBMIの分布である。K事業所は、これら取組のいずれかを来年度実施することにした。どちらを選択するかの理由である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 実施後、参加者の肥満者は0人になっているため、A事業所の取組の方がよい。
(2) プログラム1回20万円でできるので、5回実施できることから、A事業所の取組の方がよい。
(3) アプリを使った取組は、実施者側の負担が少ないため、B事業所の取組の方がよい。
(4) 取組の費用効果が良いため、B事業所の取組の方がよい。
195 来年度に実施するプログラムを選択したK事業所が、そのプログラムを実施する上で、優先すべき注意点である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 参加者を増やすようにする。
(2) 男女の人数割合を同じようにする。
(3) やせを増やさないようにする。
(4) 費用をできるだけ安くするようにする。
解説
193 答. (3)
○ (3) 男女とも肥満（25.0kg/m2 以上）の割合を減らす。
K事業所では、近年高血圧と糖尿病の患者が増加しており、プログラム実施により背景要因としての肥満の是正が求められる。
表1より、男性の肥満者割合は45%、女性の肥満者割合は10%と、男性の肥満是正の方が優先度が高いと考えられる。しかし、肥満は性別に関係なく高血圧・糖尿病のリスク因子であるため、男女どちらに対してもアプローチし、肥満を是正することが望ましい。
194 答. (4)
○ (4) 取組の費用効果が良いため、B事業所の取組の方がよい。
プログラムの実施に関しては、少ない費用で大きな効果をあげられるプログラムが理想的である。A事業所とB事業所では、参加人数や費用が異なるため、費用効果による比較を行う。
費用効果は、ある１単位の効果をあげるために要した費用であり、本問では、１人の肥満の是正を１単位とする。
費用効果を求めると、
A事業所：20万円÷13＝15,385円
B事業所：100万円÷100＝10,000円
となり、B事業所の取り組みの方が、費用効果が良いことがわかる。
195 答. (3)
○ (3) やせを増やさないようにする。
両事業所の取り組みでやせの増加がみられるが、やせも健康リスクであるため、肥満是正のためのプログラムによってやせが増加してしまわないように注意する必要がある。