問. K総合病院に勤務する管理栄養士である。緩和ケアチームによるラウンドを行っている。
患者は、73歳、男性。昨年、膀胱がんに対して手術を行った。先月来院時に肺への転移が確認され、積極的治療を希望したため、再入院し、1か月の抗がん剤治療を開始した。
再入院時の身長165cm、体重60kg、血圧136/80mmHg、空腹時血液検査値は、赤血球 410 万/nL、アルブミン 3.7g/dL、尿素窒素 14mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL。
186 治療開始後より、嘔気が出現し、食欲が低下してきたため、これまでの一般食の食事内容を見直した。見直し後の食事内容の1例として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) ごはん、鮭のホイル焼き、肉じゃが、りんご
(2) 全粥、かれいの煮魚、切り干し大根の煮物、りんごゼリー
(3) ピザトースト、グラタン、コーンスープ、りんご
(4) ざるそば、冷奴、小松菜のお浸し、りんごゼリー
187 治療開始1週間後に、さらに嘔気が強くなり、食事摂取量が必要栄養量の1/3以下となり、体重も1週間で3%以上減少した。この時点での栄養管理の方針である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1) 嗜好を重視して食事摂取量の増加を図る。
(2) 経鼻胃管チューブによる経腸栄養法を開始する。
(3) 胃瘻による経腸栄養法を開始する。
(4) 中心静脈栄養法を開始する。
解説
186 答. (4)
○ (4) ざるそば、冷奴、小松菜のお浸し、りんごゼリー
食欲が低下していても食べやすい、柔らかくさっぱりした料理を選択することが望ましい。
(2) の煮魚は臭いが強く、嘔気がある患者に適切とは言えない。
187 答. (2)
× (1) 嗜好を重視して食事摂取量の増加を図る。
嗜好重視により改善できる状態ではない。
○ (2) 経鼻胃管チューブによる経腸栄養法を開始する。
× (3) 胃瘻による経腸栄養法を開始する。
抗がん剤治療は残り3週間程度であり、追加での栄養管理は短期であると考えられる。そのため、胃瘻を造設する必要はないと考えられる。
× (4) 中心静脈栄養法を開始する。
腸が利用できる場合には、経腸栄養法を選択することが望ましい。